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【無償配布】ドローン現場の応急手当「受入基準」条文パックを公開します

今日は、きれいごとではなく現場の話をします。

最初に言ってしまいます。ドローンの現場受入基準/協力会社基準に、そのまま貼れる「応急手当要件」の条文パックを無償で配布します。WordとPDFを用意しました。コピペ前提の体裁です。(リンクは記事末尾に貼ります)

「なぜ条文なの?」と聞かれたら、理由は単純です。当社は受託案件が多いので、元請の仕様書や入札条件をこちらから動かすのは、正直難しい。言い方を選ばずに言うと、言っても変わらない場面が多いんですよね。でも、ケガや事故は契約形態に関係なく起きます。起きた瞬間に必要なのは、反省会でも根性論でもなく、最初の数分の動きです。だから今回は「お願い」ではなく、相手が社内文書に貼って使える形で出します。

現場が止まるのは、派手な事故のときだけじゃない

応急手当=心肺蘇生、AEDのイメージが強いですよね。もちろん大事です。ただ、ドローン現場で先に起きやすいのは、もっとよくあるやつです。転ぶ。切る。捻る。暑さでフラつく。寒さで動きが鈍る。
で、その瞬間に起きるのがこれ。

「誰が119番?」
「場所どう言う?」(入口どこ?車入れる?)
「血、けっこう出てる…どうする?」
「動かしていいの?やめとく?」

この数十秒のフリーズが、現場を一気に難しくします。焦って動くのも違う。でも、迷って固まるのも最悪。だから、最初の手順だけは決めておきたいんです。

CPR/AEDだけだと、現場で困る場面が残る

抜けやすいのは、だいたいこのへんです。

  • 出血したときの最初の動き
  • 外傷の見方(悪化させない動き)
  • 固定(無理に動かさない判断も含む)
  • 救急要請するかどうか
  • 通報と誘導(入口で待つ人、進入経路)

ここが特定の人頼みになると、現場の出来が日によって変わります。私はそれが嫌です。現場って、再現性がないと弱い。

求めたいのは医療行為じゃない。「初動」を決めておくだけ

応急手当という言葉が重く聞こえるのは分かります。でも、ここで言いたいのは治療ではありません。現場でできる範囲の初動、つまりファーストエイドです。

  1. まず危険を止める(周囲の安全確保)
  2. 119番と社内連絡(場所情報・進入経路・目標物)
  3. 出血対応(基本はシンプルでいい)
  4. 悪化させない(動かさない判断、固定、保温や冷却)
  5. 搬送判断(救急要請、誘導、現場の保全)

これが共有されていると、事故が起きた瞬間に割り振れます。通報、止血、入口誘導。これができるだけで、現場の初動が大きく変わるんですよね。

全員必須じゃなくていい。でも「最低1名」は置きたい

ここも現実の話です。「全員が同じレベルの講習を受けるべき」と言っても、回りません(ビジネス的には「ぜひ、受けてください!!」笑)。だから私は、まずこういう考え方が現実的だと思っています。

  • 現場あたり最低1名:外傷・出血・固定・搬送判断まで含む訓練を受けた人を置く
  • 条件が厳しい現場(遠隔地、不整地、暑熱寒冷、夜間など)は2名以上の配置を推奨
  • 当日のブリーフィングで役割を決めておく

そして正直に言うと、ここまでを会社のやり方として落とし込めているところは、まだ多くありません。だからこそ、できる会社だけが頑張って終わる形にしたくない。

「当社講習だけ必須」にはしていません(上級救命講習などもOK)

今回の条文パックは、講習名で縛らない設計にしています。もちろん当社の「ドローン応急手当講習(1日)」は該当します。ですが、消防の上級救命講習など、同等の内容を満たす講習であればOKです。採用されない要件には意味がないからです。
講習名縛りにすると、元請側が運用に困り、結果として条文そのものが入らない可能性が上がります。だから、同等要件(必要な中身)を定義し、不足があれば不足分だけ補完するという考え方にしました。

どこに貼る?どう使う?(元請・施設側向け)

この条文は、次の文書にそのまま貼れます。

  • 現場受入基準
  • 協力会社基準
  • 安全衛生要領
  • 作業許可手続のチェック項目(教育訓練/緊急時対応の章)

条文だけだと「で、どう回すの?」となりがちなので、別紙も付けています。

  • 別紙1:同等性チェック表(提出用)
  • 別紙2:現場受入チェック(当日用)

元請・施設側が欲しいのは、気持ちよりも「説明できる材料」です。だから、そこまでセットにしました。

無償配布にした理由

私は、ドローン産業界で安全が当たり前の条件になる未来を見たいです。ただ、下請けの立場で「理想」を語っても、現場はすぐには変わりません。だったら、まず使える形にして渡す。今回はあえて一石を投じてみました。

もしこの条文が、どこかの受入基準に1行でも入って、現場が一度でも迷わず動けたなら、私はそれで十分だと思っています。

ダウンロードはこちらから

英訳サマリー

I’m releasing a free, copy-and-paste “clause pack” that can be inserted directly into drone site acceptance criteria or subcontractor requirements.
In many drone work sites, the real problem isn’t only CPR/AED—it’s the first few minutes after a common incident: a fall, a cut, heavy bleeding, heat stress, or the moment the team freezes and no one knows who calls, who guides, and what to do first.

This template focuses on initial response, not medical treatment: scene safety, emergency call/coordination, bleeding control, immobilization, and evacuation/transport decisions. To make it practical, the pack also includes an equivalency checklist and a day-of-site checklist for documentation.

Importantly, it does not force a single provider: equivalent training (e.g., advanced first-aid courses) is accepted as long as it covers the required competencies.

<strong>戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)</strong> ノンテクニカルスキル講習<span class="hljs-punctuation">(</span>CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習<span class="hljs-punctuation">)</span>を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 <span class="hljs-number">1</span><span class="hljs-punctuation">,</span><span class="hljs-number">000</span>時間超の運航経験<span class="hljs-punctuation">(</span>失敗含む<span class="hljs-punctuation">)</span>からSMSを構築。 <span class="hljs-number">2023</span>年より<span class="hljs-number">3</span>年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。 ▶ 講習・コンサルのお問い合わせ <a href="https://daiyaservice.com/contact">https<span class="hljs-punctuation">:</span><span class="hljs-comment">//daiyaservice.com/contact</span></a>

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