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米国DOT「AAM国家戦略」から見えてくること

「ドローン運航にも、いよいよ仕組みの安全が当たり前になる」

米国運輸省(DOT)が、AAM(Advanced Air Mobility:eVTOL等)に関する国家戦略文書を公開しました。期間は2026年から2036年。これから10年でAAMを社会に根付かせるために、国として何を準備し、どこに課題があるのかを整理した内容です。原文はこちらです。

AAM国家戦略とは何か

この文書は「新しい乗り物が出てきました」という紹介よりも、「社会実装のための設計図」に近い印象です。空域、インフラ、セキュリティ、地域との合意、人材、自動化。AAMを本当に回していくためには、どれか一つでは足りない。そういう現実的な目線で、課題と推奨事項が整理されているようです。また、策定は政府横断の取り組みとして進められたことが本文で説明されています。

私が注目した一文「AAMとドローンを一体で扱う」

この戦略の序盤で、AAMだけではなく「すでに展開済みの無人航空機(ドローンなど)も含め、低高度の交通管理を効率的に進める」という趣旨が明記されています。
ここが、ドローン産業界にいる私たちにとっての大事なポイントだと思います。AAMを特別枠で育てるのではなく、低高度空域そのものを「交通」として成立させる方向へ進む。そして、その対象にドローンも含まれる。そう読めるからです。

低高度運航の前提が変わると、何が起きるか

ここからは推測ですが、変化は「ルールが少々増える」程度では済まないかもしれません。理由は、低高度が交通として扱われるほど、運航者に求められるのが「操縦そのもの」よりも、「運航を成立させるための説明可能性」になっていくからです。
たとえば、次のような要素は今よりも重く見られやすくなるはずです。
・誰が、何を見て、どう判断したのか
・情報は、誰と、どの粒度で共有される前提なのか
・通信や測位が不安定になったとき、どう安全側へ倒すのか
・トラブルが起きたとき、どう学び、どう改善したのか
こうしたことは、現場の頑張りだけや気合いだけでは回りません。毎回同じ品質でやるなら、どうしても仕組みが要ります。

いま準備しておきたいこと(SMSの話)

誤解が出やすいので補足しておきますが、この「AAM国家戦略」文書が「ドローンにSMSを義務化する」と断言しているわけではありません。ただ、低高度の交通管理をAAMとドローンを含めて一体で考える以上、事業者側に求められるものは、だんだんSMS的な枠組みに近づいていく可能性が高い、と私は見ています。
実際、この戦略に向けた意見募集(RFI)の要約では、安全文化やSafety Management Systems(SMS)の必要性が論点として挙げられています。
要するに、これからは「飛ばせる」だけでは足りない。「飛ばしてよいと言える根拠を、組織として持っているか」が問われやすくなる。私は、そういう流れを感じています。

ドローン運航のためのSMS講習

株式会社ダイヤサービスでは、ドローン運航の現場に合わせたSMS講習を行っています。制度が変わってから慌てるためではなく、運航の質を上げて、選択肢を増やすための内容です。もし、次のどれかに心当たりがあるなら、一度覗いてみてください。

  • ・判断が人によってブレるのを減らしたい
  • ・現場の工夫に頼りすぎず、再現できる形にしたい
  • ・クライアントや地域に、安心してもらえる説明を用意したい

「受講する・しない」の前に、まずは疑問やモヤモヤの整理からでも大丈夫です。気軽にご相談ください。

<strong>戸出 智祐(株式会社ダイヤサービス 代表/“ドローン安全ヘンタイ”)</strong> ドローン運航安全の分野で10年以上の経験を持つ、安全管理・教育の専門家。全国の自治体や企業など10社以上に対して、航空業界レベルの安全運航体制づくりや研修、コンサルティングを行ってきました。 操縦技量だけでなく、チームや組織の“ノンテクニカルスキル”を重視し、現場で本当に役立つ安全文化を普及することに情熱を注いでいます。自ら現場で危険な経験をしたことが原点で、「誰もが安心して働ける現場」を本気で目指して活動中。 千葉市花見川区を拠点に、現場目線でリアルな課題解決にこだわり続けています。無類の車好き。ブログでは、同じ現場型の読者の方と想いを共有できればと考えています。

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