ドローン産業界が「次の段階」に進むために今必要なもの
ドローンネットの倒産報道に触れ、同じドローン産業界にいる者として、率直に残念だと感じています。同じドローン産業界にいる者として、やっぱり残念です。素直にそう思いました。
一方で、変な話ですが、「驚き」より先に、「この先どうなるのだろうか」と不安になるものがありました。たぶん、現場にいる人ほど分かるんだと思います。ドローンは伸びる、伸びると言われ続けているのに、いざ社会の中で普通のサービスとして根付かせるのは、まだまだ簡単じゃない。実情は、そういう空気感です(嘘言っても仕方ない)。
そして、こういうニュースに触れるたびに頭をよぎる言葉があります。
「明日は我が身。」
これは脅しでも悲観でもなく、ドローンを事業にしている以上、避けられない現実感だと思うのです。
サービスインが進まないのは、技術のせいだけではない
ドローンの性能は上がりました。機体もソフトも選択肢が増えました。できることは、確実に広がっています。それでも、サービスインが思うように進まない。この原因を「技術が足りないから」とだけ言ってしまうと、現場の実態からズレます。
むしろ壁になるのは、こんなところです。
- 事故やトラブルが起きた時、誰が何を引き受けるのかが曖昧
- 何を満たせば「安全と言えるのか」が、関係者間で意見が揃いにくい
- 受け手(社会・発注者)が抱える不安に対して、払拭できるだけの説得材料に乏しい
- 現場の運用が、人の頑張り頼みになりやすい
技術は進んでも、ここが追いつかないと前に進みにくい。ドローンって、結局「飛べるか」より「続けられるか」が問われる場面が多いんですよね。
伸びる前に体力を削られるのが一番しんどい
この産業の難しさって、ここだと思っています。伸びしろはある。期待もある。相談も来る。でも、サービスインしていないことばかりで、事業として積み上がる前に、体力が削られてしまう。
たとえば、こんな場面です。
- 実証は増える。でも、商用の継続契約には繋がりにくい
- 「便利そう」は言われる。でも、慎重な判断が最後に残る
- 依頼は来る。でも、前提条件の調整に時間が取られる
- 何か起きた時の目線が厳しい(それ自体は当然)
ここを勢いだけで乗り切ろうとすると、どこかで無理が出ます。逆に言うと、ここを越えるには「派手な打ち手」より「足腰の強化」が必要だと考えます。
安全・安心は「オプション」じゃなくて、事業の土台
私は、安全・安心を「付け足しの付加価値」とは考えていません。事業を成立させるための最低条件だと思っています。ここを軽く見ると、運航が続かない。続かないと、信頼が積み上がらない。信頼がないと、サービスインは前に進みにくい。すごく単純な話です。
土台って、派手ではありません。でも、土台がある現場は、たしかに強い。
- ルールがある(その場のノリで決めない)
- 体制がある(誰が何を見るかが決まっている)
- 教育がある(経験が属人化しない)
- 振り返りがある(同じところでつまずかない)
「信頼は一発では作れない」。これ、地味だけど本当だと思っています。信頼は、仕組みで積み上がる。
明日は我が身。だから、今日も淡々と・・・
倒産は残念です。同業者として、そう思います。でも同時に、他人事じゃない。これが正直なところです。
だから私たちは、流行や勢いに寄りかからず、安全・安心を軸に「続けられる運航」を作り続けます。派手さより再現性。勢いより継続。結局ここを面倒がらずにやり切った会社が、最後に残ると思っています。

戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)
ノンテクニカルスキル講習(CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習)を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 1,000時間超の運航経験(失敗含む)からSMSを構築。 2023年より3年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。
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