エアマンシップの徹底と安全の追求で、空の可能性を誰もが安心して享受できる世界を。

公益を無視した利益追求は日本を確実におかしくしている

今日は少し挑発的な話から始めたいと思います。
「自社の利益のためなら、公益を損なっても構わない」。こうした空気が、日本の社会の中に広がっていると感じませんか?

利益を上げることはもちろん企業にとって必要です。しかし、公益、つまり「社会全体の利益」を犠牲にしてまで利益を優先する風潮が強まれば、長い目で見て国全体を弱らせます。私は、その危うさを今、強く感じています。

公益軽視の現状

今の日本では、あらゆる分野で「コストカット」「効率化」という言葉が当たり前になっています。それ自体は悪いことではありません。しかし問題は、その結果として「安全対策」「教育」「備え」といった、公益に直結する部分が削られていることです。

例えば私が関わっているドローン産業界でもそうです。登録講習機関は価格競争に走り、受講者のニーズは「できるだけ安く」「できるだけ短く」になりがちです。その結果、「応急手当」「安全管理」といった本来は不可欠なものが、軽視される対象になっている。これはまさに公益の切り捨てです。

矛盾:公益重視の会社ほど消えていく

ここで正直な話をしなければなりません。「目先の利益ばかりを追う会社は短命に終わる」と、私はさきほど申し上げました。しかし、現実はどうでしょうか。

公益を重視して真面目に取り組んだ会社ほど、体力を削られ、消えていくケースが少なくありません。一方で、安全投資を削り、短期的利益を優先する会社が、案外しぶとく生き残っているのです。

これが、今の日本の産業をおかしくしている本質的な矛盾です。「真面目な会社が報われない構造」が続けば、誰も公益を守ろうとしなくなる。そして社会全体が、少しずつ脆くなっていく。

公益を守る仕組みが当たり前の業界

一方で、航空や鉄道、原子力や医療といった公益性の高い産業を見てみましょう。もちろん、ここでも効率化やコスト削減の努力は日々行われています。でも「安全そのもの」を削ることだけは、絶対にしていないんです。

たとえば、航空会社の客室乗務員は全員が応急手当を習得しています。鉄道会社の駅員も、災害時の避難誘導まで含めて訓練を受けています。それは「公益を守ること」が、結局は企業自身を守ることにつながるからです。

ではなぜ、ドローン産業界だけが「公益」よりも「効率」が優先されがちなのか。
ここに大きな課題があると思うのです。

公益軽視の危うさ

実際に事故は起こります。無人航空機が墜落すれば、人に当たり、物を壊す可能性がある。そのとき、現場にいた操縦者や運航者が応急手当もできない・・・これは社会から見れば「無責任」としか映りません。

事故が起これば、一瞬で信頼は失われます。「安く短く取った免許」が「安く短く失う信頼」に直結する。これは避けられない現実です。

公益を軽視する経営判断は、短期的には利益をもたらすかもしれません。しかし、その代償は、必ず企業自身に跳ね返ります。

皆さまへの問いかけ

もし、あなたの会社が「安全コストを削る」ことで短期的に利益を上げたとしましょう。その翌月に事故が起き、全国ニュースで社名が報じられたらどうなりますか?株価は? 顧客からの信用は? 取引先からの契約は?一夜にして、築いてきたものすべてを失うことになるのではないでしょうか。

本当に守るべきは、短期的な利益でしょうか。それとも、社会の中で積み上げてきた信用や信頼、すなわち公益とのつながりでしょうか。

解決の方向性

では、どうすればよいのか。
私は「公益を守ることは、長期的な利益を守ることだ」と強調したいのです。

世界を見渡すと、すでに潮流は変わりつつあります。アメリカのFAAは、遠隔飛行(BVLOS)の規制案の中で、SMS(安全管理システム)を義務化しようとしています。ヨーロッパでも同様の流れが進んでいます。つまり、公益を守る仕組みを持たない事業者は、今後は市場に残れないということです。

逆に言えば、日本でいち早く公益重視の体制を作り上げることができれば、それは圧倒的な差別化になります。
「うちの会社は安全管理を徹底している。公益を守る仕組みを整えている。」
これが、顧客や取引先の安心につながり、長期的な利益をもたらすのです。

最後に

最後に、今日一番伝えたいことをシンプルに申し上げます。

公益を無視した利益は、短命です。
公益を守る利益こそが、未来をつくります。

私たちは、今この瞬間からでも「公益を損なわない経営」を選ぶことができます。そしてそれが、日本の産業を健全に成長させる唯一の道だと、私は確信しています。

<strong>戸出 智祐(株式会社ダイヤサービス 代表/“ドローン安全ヘンタイ”)</strong> ドローン運航安全の分野で10年以上の経験を持つ、安全管理・教育の専門家。全国の自治体や企業など10社以上に対して、航空業界レベルの安全運航体制づくりや研修、コンサルティングを行ってきました。 操縦技量だけでなく、チームや組織の“ノンテクニカルスキル”を重視し、現場で本当に役立つ安全文化を普及することに情熱を注いでいます。自ら現場で危険な経験をしたことが原点で、「誰もが安心して働ける現場」を本気で目指して活動中。 千葉市花見川区を拠点に、現場目線でリアルな課題解決にこだわり続けています。無類の車好き。ブログでは、同じ現場型の読者の方と想いを共有できればと考えています。

関連記事