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その想いを受け継いで ー ドローンナースKの命日に

3年前、ドローンナース「K」こと石澤が、まだ30代という若さでこの世を去りました。今日は彼女の命日です。

彼女はドローン産業における応急手当講習を一手に引き受け、その情熱と専門知識で多くの人々の命を守る技術を伝えてくれていました。急性期から慢性期まで、幅広い医療現場で経験を積んできた彼女には、「誰かに何かがあったら必ず助ける」という強い信念がありました。その思いは、彼女の講習を受けた全ての人に確かに伝わっていたはずです。

二つの約束

生前、彼女と交わした約束が二つあります。

一つ目は、「ドローン産業界で応急手当スキルを当たり前のものにしよう」というもの。

ドローンは今や、空撮、点検、測量、物流など、様々な分野で活用されています。しかし、その現場は時に人里離れた場所であったり、高所であったり、災害現場であったりします。もし事故が起きた時、すぐに救急車が来られない状況も少なくありません。「だからこそ、ドローンに関わる全ての人が応急手当のスキルを持つべきだ」彼女はそう考えていました。私もその考えに深く共感し、一緒にその未来を作ろうと約束しました。

二つ目は、「地元の津南町でドローン物流の実証実験をやろう」というもの。彼女の愛する地元で、ドローンが人々の生活を支える未来を実現したい。その夢を、彼女は目を輝かせて語っていました。

まだ果たせていない約束

あれから3年が経ちました。正直に言えば、どちらの約束もまだ果たせていません。

ドローン応急手当講習の受講者は年々少しずつ増えてはいます。それは確かな前進です。けれど、「ドローン産業界で当たり前のスキル」と呼べる規模には、まだまだ程遠いのが現実です。

津南町でのドローン物流実証実験も、まだ実現できていません。

彼女がいたら、きっともっと早く、もっと多くの人に届けられていたはず。そう思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

彼女に任せていたこと

講習のことは、生前、ほとんど全て彼女に任せていました。

それは私が無責任だったからではありません。彼女の知識、経験、そして何より「人を助けたい」という情熱が、誰よりも深く、強かったからです。急性期から慢性期まで、様々な患者さんと向き合ってきた彼女だからこそ、伝えられることがありました。

彼女の講習は、単なる技術の伝達ではありませんでした。「なぜこの手当が必要なのか」「この数秒が命を救う」そういった本質を、受講者一人ひとりの心に刻み込む力がありました。

だから、彼女がいなくなった後、私はどうすればいいのか分からなくなった時期もありました。

今年こそ、必ず

でも、もう立ち止まっている時間はありません。

今年こそ、必ずドローン産業界で応急手当スキルを当たり前のものにします。全力で頑張ります。これは彼女との約束であり、同時に、ドローンに関わる全ての人の安全を守るという使命でもあります。

彼女が残してくれたものは、講習のノウハウだけではありません。「誰かを助けたい」というその思いです。その思いを受け継ぎ、さらに広げていくことが、私にできる最大の供養だと信じています。

彼女がいない今

正直に言えば、彼女がいない今も、時々どうしていいか分からなくなることがあります。

「これで良かったのか」 「彼女ならどうしただろう」

そう自問自答する日々です。

でも、立ち止まってはいられません。彼女が私に託してくれたもの、私たちが一緒に描いた未来を、必ず形にしなければなりません。

ドローン産業界で応急手当スキルを当たり前のものにすること。 そして、津南町でドローン物流の実証実験を実現すること。どれだけ時間がかかっても、どれだけ困難があっても、必ずやり遂げます。それが、彼女と交わした約束であり、彼女がこの世に残してくれた思いを受け継ぐということだから。

受講者の皆様へ

これまで講習を受けてくださった皆様、そしてこれから受講してくださる皆様。

皆様が学ぶ応急手当のスキルには、石澤という一人のナースの強い思いが込められています。彼女は、皆様一人ひとりが、いつか誰かの命を救う存在になることを信じていました。

どうか、そのスキルを忘れず、そして必要な時には迷わず行動できる自分でいてください。それが、彼女が最も望んでいたことです。

前を向いていかなきゃ

悲しみや喪失感は、時間が経っても完全には消えません。でも、彼女が残してくれた思いと、私たちが共有した夢は、決して色褪せることはありません。むしろ、時間が経つほどに、その重みと大切さを実感しています。

だから、今年こそ。

石澤が夢見た未来を、必ず現実にします。彼女が笑顔で「よくやった」と言ってくれるその日まで、私たちは走り続けます。

彼女が信じてくれた未来のために。 ドローン産業界の安全のために。そして、これから出会う全ての「救える命」のために。

<strong>戸出 智祐(株式会社ダイヤサービス 代表/“ドローン安全ヘンタイ”)</strong> ドローン運航安全の分野で10年以上の経験を持つ、安全管理・教育の専門家。全国の自治体や企業など10社以上に対して、航空業界レベルの安全運航体制づくりや研修、コンサルティングを行ってきました。 操縦技量だけでなく、チームや組織の“ノンテクニカルスキル”を重視し、現場で本当に役立つ安全文化を普及することに情熱を注いでいます。自ら現場で危険な経験をしたことが原点で、「誰もが安心して働ける現場」を本気で目指して活動中。 千葉市花見川区を拠点に、現場目線でリアルな課題解決にこだわり続けています。無類の車好き。ブログでは、同じ現場型の読者の方と想いを共有できればと考えています。

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