2026年4月25日、アメリカではDrone Safety Dayが開催されます。
FAAが主催する年次キャンペーンで、今年のテーマは「FlySafe, FlySmart, FlyReady」。2022年にスタートし、今年で5回目を迎えるそうです。大学・企業・地域団体が全米各地で対面・オンライン・ハイブリッド形式のイベントが展開されます。
今のところ、日本でこれに相当する仕組みは、まだ存在しませんが、安全運航の文化を産業界全体に根付かせるには、制度の整備を待つだけでは間に合わないと私たちは考えています。民間企業である私たちが、まず動く。それが今回の発信の出発点です。(そもそも国が決めた制度に乗っかるだけだから、自発的な取り組みが進まない)
数字が示す現実
先進モビリティ技術論文誌(2023年)に掲載された国土交通省報告データに基づく研究によれば、2015年度から2021年度の7年間で、国内ドローン事故は448件にのぼります。
そのうち、人的要因が絡む事故は78%。複合要因による事故に限れば、「飛行計画の不備」が関係するケースが81%に達しています。
つまり、ドローン事故の大半は機体の故障等ではなく、人が、準備を怠り、判断を誤った結果です。
2022年12月に国家資格制度が施行され、資格取得者数は増え続けています。しかし、この数字を見る限り、資格の普及が安全運航の定着に直結しているとは言い切れないかと思います。「飛ばせる人」が増えることと、「安全に飛ばし続けられる組織」が増えることは、全く別の話です。
「FlySafe, FlySmart, FlyReady」が問いかけること
Drone Safety Dayの今年のテーマは、次の3つだそうです。
FlySafe:飛行前・中・後を通じて安全を最優先にする。
FlySmart:ルール、空域、ミッションの要件を正確に把握する。
FlyReady:機体点検と運航準備を毎回徹底する。
これは資格の有無に関係のない問いかけです。国家資格を持っていても、この3つを毎回の飛行で実践できているかどうかは、また別の話です。先ほどの78%・81%という数字は、まさにFlyReadyとFlySafeの欠如が積み重なった結果と言えます。
11年間の現場経験が教えてくれたこと
弊社がドローン事業に参入して11年になります。
正直に言えば、最初から安全を事業の軸に置いていたわけではありません。多様な現場でのPoCや運航を重ね、試行錯誤を繰り返す中で、安全な運航がいかに難しく、いかに重要かを実体験として理解してきました。
その経験の中で繰り返し目にしてきた現実があります。中止基準が決まっていないまま現場に入る。補助者の役割が「何かあれば声をかける」という曖昧な認識のままで終わる。飛行が終われば振り返りもなく解散する。事故は起きなかった。しかし、次に同じ状況が来たとき、同じ判断が繰り返される可能性は消えていません。
これらは法令違反ではありません。しかし、安全とも言い切れない状態です。
民間企業として、まず動く
Drone Safety Dayは米国のキャンペーンです。日本の産業界が公式にこれに呼応する仕組みは、まだありません。
安全文化は、制度が整ってから自然に生まれるものではありません。現場で働く人間が、自分たちの問題として引き受けることから始まります。弊社は日頃からドローン産業界全体の安全文化醸成の必要性を提唱してきた民間企業として、このキャンペーンの趣旨に賛同します。そして、日本でも同様の取り組みが根付くことを強く望みます。
4月25日、白書の内容をオンラインで解説します
この問いに対して、弊社は2026年3月に「日本ドローン運航安全白書2026」を無料公開しました。
白書では、事故の78%を占める人的要因をどう防ぐか、運航体制の何が問題なのかを、現場の実態に根ざした言葉で整理しています。GO/NO-GO基準の文書化、デブリーフィングの実装方法、発注者が委託先を評価するための確認項目など、「今日から着手できること」を規模別に具体的に示しています。
そして4月25日、Drone Safety Dayの日に、この白書の内容をオンラインで解説する場を設けようと計画中です。詳細は近日中にお知らせします。
白書は現在、弊社ウェブサイトにて無料でダウンロードいただけます。
資格の取得で終わらない安全文化を。飛行前の確認を形式ではなく実質として機能させる現場を。4月25日、次の飛行の前に一度立ち止まってみてください。

戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)
ノンテクニカルスキル講習(CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習)を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 1,000時間超の運航経験(失敗含む)からSMSを構築。 2023年より3年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。
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