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ドローン現場に応急手当の専門講習がなかった。だから作った。DEC、7周年を機に全面刷新

ドローンの現場は、想像以上に孤独です。

山間部、海上、工場の屋上・・・。救急車が10分以内に到達できる環境ばかりではありません。プロペラによる裂傷、バッテリーの発火による熱傷、炎天下での熱中症、冬季の低体温症・・・ドローン運航の現場には、一般の職場では起きにくい特定の外傷リスクが集中しています。

それなのに、「応急手当を学んでいるドローン従事者」は、まだほとんどいません。

ドローン応急手当講習「DEC(Drone Operations Emergency Care)」は、この現実に着目して2018年に立ち上げた、ドローン従事者のための職種特化型応急手当プログラムです。おかげさまで今年、開始から7周年を迎えました。

「余計なことをするな」と言われた7年前

立ち上げ当初、業界の反応は冷淡でした。「余計なことをするな」という空気の中で講習を開始し、「ドローンが落ちるみたいに聞こえるからやめてくれ」と直接言われたこともあります。

それでも信念を貫き通しました。

活動の途上、この講習を一緒に支えてくれていた仲間が突然この世を去りました。あいつが描いていた世界を、代わりに実現させる。その一念で、ここまで続けてきました。

7年経った今日、素直に、自分を褒めてあげたいと思います。

消防の救命講習との違い = DECの存在価値

消防局の上級救命講習は、「市民誰もが持つべき汎用スキル」として設計されています。心肺蘇生やAEDの使い方を学ぶ、非常に重要な講習です。

一方でDECは、「ドローン運航という特殊環境で起きる特定の外傷・事故に対応する、職種特化型スキル」として設計しています。

DECが対象とする6つの応急手当はこちらです。

  • 心肺蘇生
  • 止血対応
  • PRICES処置(捻挫・打撲などの外傷処置)
  • 熱傷・電撃傷対応(バッテリートラブル等)
  • 環境対応(屋外での熱中症・低体温症等)
  • 的確な通報

消防の講習を受けていても、バッテリー発火による熱傷や、プロペラ接触による裂傷への対処を学んでいる方はほとんどいません。両方を学ぶことが、ドローン従事者にとっての理想です。消防局の救命講習との詳しい比較は、ウェブサイトに掲載しています。

7周年を機に、3つを刷新しました

この節目に合わせ、DECの中身を大きく更新しました。

① 講習テキストの全面刷新

現場での実際の事故事例と外傷パターンをより詳細に反映した内容に改訂しました。「知識として知っている」から「現場で即応できる」レベルに引き上げることを意識した構成です。

② インストラクター指導要領書の再構築

DECのインストラクター資格を目指す方向けに、指導の標準化・品質均一化を目的とした指導要領書を全面的に作り直しました。止血処置60秒・PPE装着30秒といった具体的な時間目標と、標準的な指導言語を明文化しています。どのインストラクターが教えても、同じ品質の講習を届けられる仕組みです。

③ 更新プログラムの整備

応急手当スキルは、習得後6か月〜1年で大幅に低下するという研究データがあります。使わないスキルは、確実に錆びます。

DECでは認定証の有効期限である2年サイクルを最低ラインとして、可能であれば毎年の継続受講をお勧めしています。オンラインでの更新も可能ですが、実技の確認が伴う対面受講とは内容が異なります。現場で本当に動けるかどうかを確かめるためにも、定期的な対面受講をご検討ください。

新しいDECロゴに込めた思い

7周年を機に、DECのロゴを一新しました。

新ロゴはカメラの絞り(アパーチャー)をモチーフに、3つのコンセプトを一体化させたデザインです。

外周のリング|救命の空白
リングの6つの切れ目は、救急車が到着するまでの「救命の空白の時間」を表しています。その空白を埋めるのが、ドローン従事者自身の応急手当です。

6本の直線アーム|6つの必須応急手当
機体を支える6本のアームは、DECが定める6つの必須応急手当を表しています。

中心のハート|仲間への思いやり
知識と技術の根本にあるのは、「仲間を助けたい」という意志です。それがDECの活動の本質だと考えています。

次回の定期開催は3月13日(金)です

会場は千葉県千葉市花見川区の当社研修室です。まだお席に余裕がありますので、お気軽にご相談ください。

また、4名以上であれば全国への出張講習にも対応しています(諸経費は別途ご負担いただきます)。ぜひお誘い合わせの上、お問い合わせください。

これまでにご受講いただいたすべての皆様に、あらためて心より感謝申し上げます。「学ぼう」と決めて行動に移したその判断に、深く敬意を払います。そして、講習で学んだことが一切の役に立たないまま、皆様の現場が今日も安全であり続けることを、心から願っています。

今後ともDECをどうぞよろしくお願いいたします。

▼ DEC(ドローン応急手当講習)の詳細・お申し込みはこちら https://dosa-chiba.jp

<strong>戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)</strong> ノンテクニカルスキル講習(CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習)を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 1,000時間超の運航経験(失敗含む)からSMSを構築。 2023年より3年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。 ▶ 講習・コンサルのお問い合わせ <a href="https://daiyaservice.com/contact">https://daiyaservice.com/contact</a>

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