FOMSで目指した「安全が面倒にならない仕組み」
私たち株式会社ダイヤサービスは、ドローン運航における安全の考え方を、できるだけ現場で使える形に落とし込むことを大切にしています。その一環として、社内運用を支える仕組みを少しずつアップデートしてきました。
今回ご紹介したいのは、FOMS(Flight Operations Management System) の新しい運用についてです。特にConOps(運航計画)にSORA2.5のリスク評価とOSOを組み込んだ点は、私たちにとって大きな節目になりました。
前日までのConOps作成と全メンバーの合意
当社ではドローン運航の際、前日までに必ずConOps(運航計画)を作成し、携わる運航メンバー全員の許可を得るしくみを採っています。このプロセスは、単なる形式ではなく、当日の迷いを減らし、判断の質を揃えるための準備です。
現場には、天候・空域・地形・人的状況など、予想以上に変動要因が存在します。このため、運航前の段階で認識を揃えておくことが、安全の土台になると考えています。
FOMSで行いたかったこと
FOMSは、こうした当社の運航標準を、仕組みとして自然に回る形にするための社内システムです。現場の負担を増やすためではなく、むしろ無理なく続く安全を支えるために整備してきました。
そして今回、FOMSのConOps内に
- SORA2.5によるリスク評価結果
- OSO(Operational Safety Objective:運用上の安全目標)
を記入・整理できる欄を新設しました。

なぜSORA2.5とOSOなのか
SORA2.5は、JARUSが開発したドローン運用の安全性を評価するためのリスク評価フレームワークです。地上リスク(GRC)と空中リスク(ARC)を中心に、運用の特性に応じたリスク低減の考え方を整理し、必要な安全上の目標(OSO)へとつなげていく構造を持っています。
私たちがこの枠組みに注目した理由はシンプルで、安全を気合いや経験値に頼らず、説明可能な形にできるからです。ドローン運航が社会に受け入れられていくためには、「安全にやっています」という宣言ではなく、安全の根拠を整理して示せることが重要になっていくと感じています。

自社開発フォームと、現場のためのカスタマイズ
SORA2.5のリスク評価ロジックに関しては、JARUSやReAMoの資料を熟読させていただき、自動で計算されるフォームを自社で開発しています。
一方で、GRCやARCの算出に必要な項目は、一部を間引かせていただき、現場で運用として回ることを最優先に、独自解釈のもと一部をカスタマイズしています。
理想を追うほど項目は増え、入力は複雑になります。しかし現場では、「正しさ」だけでなく「続けられること」が同じくらい大切です。このバランスは、私たちが何度も悩み、検討したポイントでした。

18項目のOSOを4段階で“見える化”
計算された結果に応じて、18項目あるOSOが
- 高ロバスト
- 中ロバスト
- 低ロバスト
- 不要
の4段階に分かれて表示されます。
また、「何をもって各OSOが達成できていると言えるのか」については、これまた当社の現場運用に合わせて独自の判定項目を整備しています。この点は、今後も実運用の知見を積み重ねながら、より精度と納得感の高い内容へ改善していく予定です。

零細企業だからこそ、早めに標準化しておきたい
私たちは零細企業です。だからこそ、世界や日本の最新の取り組みを参考にさせていただき、できるだけ早い段階から取り入れて標準フロー化してしまうことで、現場で「面倒くさい」と思う瞬間を減らしたいと考えています。
安全は、運航の追加オプションではなく、最初から前提として組み込んでおく標準装備品です。そうして初めて、現場は安心して本来の業務に集中できます。
私たちが目指すのは「安全が回る現場」
この取り組みの本質は、立派な仕組みを作ることではありません。目指しているのは、安全が現場で自然に回り、判断の質が揃い、改善が蓄積されていく状態です。
ドローン産業界において、安全の枠組みを「実務の言語」に翻訳する作業は、まだまだ伸びしろが大きいと感じています。その橋渡しを、まずは自社の現場でやり切る。そして得られた学びを、必要とする方々に還元していく。それが私たちの役割だと思っています。
ご相談いただけること
ドローンの運航業務そのものを外注されたい企業様、あるいは自社運航を目指し、安全管理を組織として徹底したい企業様。よろしければ株式会社ダイヤサービスまでご相談ください。
制度やフレームワークの正しさと、現場で回る現実性の間にあるギャップを、一緒に埋めていけたら嬉しく思います。
さいごに
今回のFOMSアップデートは、私たちにとって「安全が面倒にならない仕組み」に一歩近づく挑戦でした。まだ改善の余地は多くあります。でも、だからこそ面白い。現場で育てながら、より良い形にしていきたいと思っています。
もし皆さまの現場で、ConOpsの運用やSORA2.5の取り入れ方について工夫されていることがあれば、ぜひお声をお寄せください。

戸出 智祐(株式会社ダイヤサービス 代表/“ドローン安全ヘンタイ”)
ドローン運航安全の分野で10年以上の経験を持つ、安全管理・教育の専門家。全国の自治体や企業など10社以上に対して、航空業界レベルの安全運航体制づくりや研修、コンサルティングを行ってきました。
操縦技量だけでなく、チームや組織の“ノンテクニカルスキル”を重視し、現場で本当に役立つ安全文化を普及することに情熱を注いでいます。自ら現場で危険な経験をしたことが原点で、「誰もが安心して働ける現場」を本気で目指して活動中。
千葉市花見川区を拠点に、現場目線でリアルな課題解決にこだわり続けています。無類の車好き。ブログでは、同じ現場型の読者の方と想いを共有できればと考えています。