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自主論文「無人航空機運航における現場安全設計」がJxivに掲載されました

このたび、株式会社ダイヤサービス代表の戸出智祐が執筆した自主論文「無人航空機運航における現場安全設計 ― 制度遵守と運航実装の接続 ―」が、JSTプレプリントサーバ「Jxiv」に掲載されました。

本稿は、無人航空機の運航において、制度を守ることと、現場で安全な運航を実現することの違いを整理したものです。Jxivに掲載されているのは日本語版で、英語版PDFは当社ウェブサイトのリサーチページからご覧いただけます。

なお、Jxivに掲載されている原稿はプレプリントであり、査読前の原稿です。最終出版版の論文ではありません。その前提をご理解いただいたうえで、ドローン産業界における安全管理の議論材料としてご覧いただければ幸いです。

制度を守るだけでは、現場の安全は完成しない

日本では、無人航空機の社会実装に向けて、制度整備が着実に進んできました。

機体認証、無人航空機操縦者技能証明、飛行許可・承認、飛行計画通報、飛行日誌、事故・重大インシデント報告など、運航に必要な枠組みは以前よりも明確になっています。これらは、無人航空機を社会の中で運航していくために欠かせない基盤です。

一方で、私たちが実際の現場で感じてきたのは、制度を守っていることと、その現場が安全に設計されていることは同じではない、ということです。

飛行許可を取得していても、当日の風を誰がどの基準で判断するのかまでは決まりません。資格を持っていても、第三者が接近したときに誰が中止判断を下すのかは自動的には決まりません。チェックリストがあっても、チーム全員が同じ状況認識を持てるとは限りません。

そこにあるのは、書類上の話ではなく、現場の運航設計の問題です。

「現場安全設計」という考え方

本稿では、無人航空機運航に必要な安全管理の考え方を「現場安全設計」として整理しています。

現場安全設計とは、単に法令や手続きを満たすことではありません。実際の運航現場で、誰が何を確認し、どの情報を共有し、どの基準で継続・中止を判断し、どのように記録して次の改善につなげるのかを、あらかじめ運航の中に組み込んでおく考え方です。

論文では、この現場安全設計を次の四つの領域で整理しました。

  • 運航前設計
  • 役割と連携
  • 継続・中止判断
  • 記録と改善

この4つは、特別な大企業だけが取り組むものではありません。むしろ、少人数で現場に出ることの多いドローン運航だからこそ、曖昧にしてはいけない部分だと考えています。

たとえば、前日までにConOpsを整理し、関係者と合意しておくこと。現場に入る前もしくは入った直後にプリブリーフィングを行い、役割、リスク、判断基準を共有すること。飛行後には、単なる反省ではなく、次の運航に残せる形でデブリーフィングを行うこと。

こうした地味な積み重ねこそが、現場の安全を支えると考えています。

D-LOSAとの関係

本稿では、当社が開発しているD-LOSA(Drone-Line Operations Safety Assessment)との関係についても触れています。

D-LOSAは、無人航空機運航の現場を評価・診断するための枠組みです。論文では、7つの運航フェーズ・103項目の評価項目、SORA 2.5との対応関係を示しながら、現場安全設計をどのように観察・記録・評価・改善へつなげるかを整理しています。

重要なのは、評価そのものを目的にしないことです。

評価は、現場を責めるためのものではありません。運航のばらつきや、判断基準の曖昧さ、チーム内の認識差を見えるようにし、次の運航をより良くするためのものです。

安全を一人の経験や注意力に預けるのではなく、運航の仕組みとして実装する。これが、本稿で最も伝えたかったことです。

ドローン産業界の議論材料として

本稿は、制度そのものを批判するために書いたものではありません。

むしろ、制度が整備されてきた今だからこそ、その制度を現場の判断基準、運航体制、教育、記録改善へどう接続するかが重要になると考えています。

繰り返し申し上げていますが、ドローンの安全は、操縦技量だけで成立するものではありません。資格や許可承認だけで完成するものでもありません。現場には、気象、地形、第三者の接近、電波環境、発注者要望、関係者調整、人的要因など、さまざまな要素が同時に存在します。

だからこそ、運航事業者自身が、現場で判断できる基準を持ち、チームで共有し、記録を残し、改善につなげていく必要があります。

今回の論文が、ドローン産業界における安全管理、運航設計、教育・訓練、発注者側の理解促進に少しでも役立てば嬉しく思います。

関連リンク

Jxiv掲載ページ(日本語版プレプリント)
https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv/preprint/view/4261

DOI
https://doi.org/10.51094/jxiv.4261

当社リサーチページ(日本語版PDF・英語版PDF)
https://daiyaservice.com/research/field-safety-design-2026/

<strong>戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)</strong> ノンテクニカルスキル講習(CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習)を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 1,000時間超の運航経験(失敗含む)からSMSを構築。 2023年より3年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。 ▶ 講習・コンサルのお問い合わせ <a href="https://daiyaservice.com/inquiry/">https://daiyaservice.com/inquiry/</a>

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