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「決定的な欠落」から考える、ドローン運航のプロフェッショナリズム

RoboStep様に、当社のDECインストラクター資格制度をご紹介いただきました。記事の中で、私が特に印象に残ったのは、「決定的な欠落」そして、「ドローン産業におけるプロフェッショナリズムの再定義」という言葉です。かなり強い表現です。

正直なところ、私はこの言葉に大きくうなずきました。

ドローン産業界では、これまで「飛ばせること」「資格を持っていること」「申請ができること」が、プロフェッショナルの条件のように語られてきた面があります。

もちろん、それらは大切です。
操縦技量も、法令理解も、申請手続きも、現場には欠かせません。

ただ、それだけで本当に十分なのか。ここは、ずっと考えてきたことでもあります。

  • 事故を起こさないための準備
  • 異常時に止める判断
  • 万が一、負傷者が出たときの初動
  • 救急隊への引き継ぎ
  • 二次被害を防ぐための現場整理

こうしたところまで含めて、初めて「運航に責任を持つ」と言えるのではないか。私はそう考えています。

応急手当は「おまけ」ではない

ドローン運航では、機体の墜落、接触、プロペラによる切創、バッテリー発火、屋外での熱中症など、さまざまなリスクが想定されます。

当然ですが、一番大切なのは事故を起こさないことです。そのために、事前のリスクアセスメント、ConOpsの作成、プリブリーフィング、飛行前点検、役割分担が必要になります。

ただ、どれだけ準備をしても、リスクをゼロにはできません。だからこそ、万が一のときに現場で何ができるのか。
ここを考えておく必要があると思っています。

119番通報は当然です。
ただ、119番は初動対応の入口であって、そこで現場の役割が終わるわけではありません。

救急隊が到着するまでの数分間、現場にいるのは運航チームです。その数分間に、出血への対応、意識や呼吸の確認、二次被害の防止、救急隊への情報整理ができるかどうか。ここに、現場の差が出るのではないでしょうか?

「自動車免許を持っているから大丈夫」では足りない

応急手当の話をすると、ときどきこう言われることがあります。

「自動車免許を取るときに応急救護はやったから、運転免許証の提示で応急手当は免除が妥当」

たしかに、自動車教習所では応急救護を学びます。そこを否定するつもりはありません。ただ、多くの方にとって、それは自動車運転免許取得時に一度受けた講習です。

  • その後、胸骨圧迫を練習したでしょうか?
  • AEDの使い方、覚えてますか?
  • 止血や固定、搬送、救急隊への引き継ぎを、現場を想定して確認したでしょうか?

おそらく、多くの方はそこまで継続的には確認していないと思います。私自身、それを責めたいわけではありません。ただ、「昔やったことがある」と「いま現場で動ける」は、やはり別の話です。

さらに、ドローン運航現場には、自動車教習所の応急救護だけでは整理しきれない要素があります。

  • プロペラによる切創
  • 墜落物による外傷
  • リポバッテリーの発火
  • 屋外フィールドでの熱中症
  • 山間部や河川敷など、救急隊の到着に時間を要する現場

こうしたリスクまで考えると、運転免許証を持っていることだけで、ドローン運航現場の応急手当スキルを代替できるとは言いづらい。ここは、曖昧にしてはいけない部分だと考えています。

DECは、ドローン現場のために作った応急手当です

私たちがDECを作った理由は、まさにここにあります。DECは、一般的な応急手当講習をそのままドローン向けに言い換えたものではありません。ドローン運航現場で起こり得るリスクを前提に、救急隊に引き継ぐまでの初動対応を確認するためのプログラムです。

BLS、AED、外傷手当、止血、固定、搬送、熱中症対応、バッテリー発火時の安全確保、救急隊への情報引き継ぎ。こうした内容を、単に知識として聞くだけでなく、実際に手を動かしながら確認していきます。

  • 声を出す
  • 役割を分ける
  • 現場を整理する
  • 救急隊に何を伝えるべきかを確認する

地味に見えるかもしれません。でも、現場ではこういう地味な準備が大切なのだと思います。

インストラクター制度は、品質を揃えるための仕組み

今回ご紹介いただいたDECインストラクター資格制度は、DECを広げるためだけの制度ではありません。私たちが特に大切にしているのは、品質を揃えることです。

応急手当は、雰囲気で教えてよいものではありません。ドローン現場のリスクを理解し、講習として正しく伝え、受講者が現場で迷いにくくなるように導く必要があります。

そのために、DECインストラクター資格制度では、学科、実技、指導方法、評価基準を設けています。

資格名だけが広がればよいとは考えていません。むしろ、そこが一番怖いところでもあります。

大切なのは、現場で必要な水準をできる限り揃えていくこと。そのための仕組みとして、DECインストラクター資格制度を設計しています。

プロフェッショナリズムを、もう一段深く考える

ドローンのプロフェッショナルとは、何でしょうか。

  • きれいに飛ばせる人
  • 資格を持っている人
  • 申請ができる人
  • 高性能な機体を扱える人

もちろん、それらは大切です。

ただ、私はそこに加えて、
「現場に責任を持てる人」
であることが必要だと思っています。

  • 飛行前にリスクを想定する
  • チームで情報を共有する
  • 危ないと思ったら止める
  • 異常が起きたときに役割を持って動く
  • 負傷者が出たときに、救急隊へつなぐまでの初動を担う

ここまで含めて、ドローン運航のプロフェッショナリズムではないでしょうか?RoboStep様の記事が示してくださった「プロフェッショナリズムの再定義」という言葉は、この問題に正面から光を当ててくれたように感じています。

事故現場で動けるか

ドローンは、社会に受け入れられてこそ価値を発揮します。そのためには、便利さだけを語るのではなく、リスクにどう向き合っているかを示す必要があります。

事故を起こさない努力。
そして、万が一のときに現場で動ける準備。

この両方があって、初めて「安全な運航」に近づいていくのだと思います。

今回の記事を通じて、DECやDECインストラクター資格制度だけでなく、ドローン運航に関わる方々が、自分たちのプロフェッショナリズムを少しだけ見つめ直すきっかけになれば嬉しく思います。

RoboStep様、このたびは大変丁寧に、そして力強くご紹介いただき、誠にありがとうございました。

記事はこちら:
https://robo.japanstep.jp/learn/2026/05/1994/

ドローン応急手当講習(DEC)はこちら:
https://dosa-chiba.jp/course/dec/

ドローン応急手当インストラクター資格はこちら:
https://dosa-chiba.jp/course/dec-instructor/

<strong>戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)</strong> ノンテクニカルスキル講習(CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習)を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 1,000時間超の運航経験(失敗含む)からSMSを構築。 2023年より3年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。 ▶ 講習・コンサルのお問い合わせ <a href="https://daiyaservice.com/inquiry/">https://daiyaservice.com/inquiry/</a>

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