こんにちは、ドローン安全ヘンタイ社長の戸出です。
今日は、自分でも「これはやらかしたな…」と冷や汗をかいた“現場での失敗談”をありのままに書きます。どれだけ経験を積んでもヒューマンエラーはゼロにならない。そのことを痛感した出来事です。
“完璧”が生む油断
実はこの日、3日間連続の運航の最終日でした。
1日目も2日目も、現場は別々。どちらも新しいロケーションでしたが、事前に自律飛行プログラムを組んでおき、現場でも問題なく作動。「やっぱり俺の段取りは完璧だな」なんて、少し自信というか、ちょっとした奢りも正直ありました。
現場ごとに天候も地形も違うし、スケジュールも分刻みで動いている。それでも何事もなくフライトを終えられると、心のどこかで「今日もきっとうまくいくだろう」と思い込んでしまうんですよね。この“慣れ”と“うまくいっている時の自信”こそが、実は一番危ない。
現場は「焦り」と「暑さ」で判断力も低下
最終日、現場に到着した時にはすでに35度を超える猛暑日。前日までも暑い中を何箇所か回っていたので、体力もじわじわ削られた状態でした。
正直、「今日も段取り通りでいこう」「早く終わらせたい」という気持ちがどこかにありました。この時点で、もう“確認”より“効率”を優先しようとする頭になっていたのかもしれません。
離陸直後に「なにこれ!?」…ドローンが意図しない方向へ
自律飛行プログラムをアップロードし、「さあ、離陸」と操作した瞬間です。
ドローンが、これまでの2日間とはまるで違う動きを見せて、「え、なんでそっちに飛ぶ!?」と一気に血の気が引きました。
焦って画面を見ると、ホームポイント(離陸地点)が200mもズレている。つまり、プログラム上の出発点と現実の離陸地点がまったく違っていたんです。自律飛行プログラム自体は“完璧”だったかもしれない。でも、現場の“いま・ここ”とのズレを確認しないまま飛ばした結果、起きた出来事でした。
“うまくいっている時”こそ危ない
前の2日間が順調にいっていたからこそ、「大丈夫だろう」という奢りがあった。「前回までトラブルなく飛ばせた」という安心感が、確認をおろそかにさせた。しかも現場は炎天下で、汗が目に入るレベル。スケジュールも押していたし、頭のどこかで「早く終わらせたい」と焦っていたのは間違いないです。
本来なら、
- 離陸前にアプリで必ずホームポイントを再確認
- GPSの位置が実際と合っているかをクロスチェック
- 「まあ大丈夫」の気持ちを捨てて、もう一呼吸置く
…そういった“当たり前”を怠っていたんです。
どんなベテランでも“ヒューマンエラー”はなくならない
現場経験が長くなればなるほど、「効率」「段取り」「慣れ」の罠にはまりやすくなる。私自身、“安全”の大切さを散々口にしてきたけれど、こうやって自分でも確認を省いてしまうことがある。
現場で同じような体験をしたことがある方、多いと思います。どれだけ準備しても、どれだけ気をつけていても、人間はミスをするものです。
今回の教訓と「仕組み化」の大切さ
幸いにも、今回は広い現場で周囲に危険はありませんでした。でも、これが住宅地だったら、施設周辺だったら…と考えると、高度次第では本当に背筋が凍ります。
今回の失敗から学んだこと:
- “現場”で必ずアプリ画面を見て、ホームポイント・GPS位置を確認する習慣を徹底
- 暑さ・疲労・焦りが重なる日は“自分を信じない”ぐらいがちょうどいい
- どれだけ順調でも、最後のチェックは絶対に省略しない
一人の力だけでは限界がある。だからこそ「チェックリスト」や「Wチェック」といった仕組みが必要で、誰かにダブルチェックを頼むだけでも、ヒューマンエラーのリスクは大きく減る。
失敗もまた“現場力”の一部
今回のやらかしは、私にとってまたひとつ大きな学びになりました。完璧に見える仕組みでも、“人”が絡むとミスはゼロにはならない。そのことをリアルに実感したからこそ、同じ現場で働く人たちと、「こういう時、やっちゃうよね」「わかる!」という気持ちを共有できたらいいなと思います。
「社長の私がやらかした」とブログに書くのは恥ずかしいですが、現場のリアルを伝えて、読んでくれた方が少しでも気を引き締めるきっかけになったら嬉しいです。
皆さんも、暑さ・焦り・慣れが重なる現場、「大丈夫だろう」の瞬間にご注意を!

戸出 智祐(株式会社ダイヤサービス 代表/“ドローン安全ヘンタイ”)
ドローン運航安全の分野で10年以上の経験を持つ、安全管理・教育の専門家。全国の自治体や企業など10社以上に対して、航空業界レベルの安全運航体制づくりや研修、コンサルティングを行ってきました。
操縦技量だけでなく、チームや組織の“ノンテクニカルスキル”を重視し、現場で本当に役立つ安全文化を普及することに情熱を注いでいます。自ら現場で危険な経験をしたことが原点で、「誰もが安心して働ける現場」を本気で目指して活動中。
千葉市花見川区を拠点に、現場目線でリアルな課題解決にこだわり続けています。無類の車好き。ブログでは、同じ現場型の読者の方と想いを共有できればと考えています。