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「教える」ことの重み

現場で使いこなしてから、初めて“講習”と呼べる

私たちは現在、ノンテクニカルスキルに関する講習を以下の5種類提供しています。

私たちの講習は、自社の現場で運用・改善を重ねてきた“社内制度”そのものをベースにしています。

つまり、「うまくいった実績があるから、人にも伝えられる」という順序を守っているのです。最初から“教えること”を目的にした内容ではなく、あくまで現場から育てた仕組みを、他社にも還元できる形に整えた結果として講習になっている。それが私たちのスタンスです。

講習と社内制度がつながっていないなら、伝える意味がない

安全とは、理念ではなく仕組みです。
ミスを完全に防ぐことはできなくても、ミスが起きても事故につながらないように“設計”することはできます。そのために、私たちは講習で扱うすべての内容を、自社の業務運用に制度として組み込んでいます。

たとえば、

  • CRM講習の内容は、運航管理規程の中にあるブリーフィング手順、役割定義、情報共有のルールと対応しています。
  • SMS講習は、自社で導入・運用している安全管理体制、ヒヤリ・ハット報告、安全レビューの進め方をベースに構成されています。
  • 応急手当講習も、日頃の訓練、安全報告書の記録項目、事故発生時の初動対応手順との整合性をとっています。

つまり、講習の内容がそのまま運用ルール・報告書・教育記録の中に組み込まれているのです。ここに、私たちの講習が“現場で使える”理由があります。

制度に根ざしているかどうか

当社以外でも、航空会社が主催するCRM講習に連携するような形でドローン事業者が開催したCRM講習の事例は過去にいくつかありました。現在も探せばあると思います。

ただ、それらがドローンの運航業務に合わせて設計されているのか実際に社内の運航体制や文書と結びついているのかまでは、外部から確認することはできません。

SMSについては、私たちの知る限り、実務に耐えうる形で自社に制度として導入し、それを講習として展開しているドローン企業は当社以外に見当たりません

言葉だけが先行しているケースもあるのではないか。そう感じる場面も少なくありません。

たとえば、航空業界や他産業のフレームワークを“そのまま”持ち込んだ内容では、受講者は「で、これは自社の運航にどう活かすのか?」と迷ってしまいます。現場に即した応用の手がかりがなければ、講習の意義は薄れてしまいます。

「制度として運用していない内容」を教えることへの違和感

私たちは、講習を提供するならば、その内容が自社の業務制度として日々使われていることが前提であるべきだと考えています。

講習で語られる安全文化やコミュニケーション手法が、実際にどのような仕組みで現場に落とし込まれているのか。その答えが運航管理規程にあり、安全報告書にあり、記録とレビューにあるべきです。

そのような社内制度の裏付けがないまま講習だけを提供することに、私たちは強い違和感を覚えます。

もちろん、どのような講習を提供するかは各社の自由です。しかし、制度として持ち得ていない内容について、他社に「教える立場」を取ることが果たして妥当なのか?これは一度立ち止まって考えるべき問いだと思っています。

広げたいのは“知識”ではなく“文化”

私たちがノンテクニカルスキル講習を通じて広げたいのは、「人を責めるのではなく、仕組みで支える」という文化です。

それは、知識やスキルの習得ではなく、「社内制度をどう設計するか」「組織としてどう運用するか」という考え方を共有していくことです。

制度として実行しているからこそ、私たちはそれを講習として他者に伝える責任を持てる――その自負があるからこそ、これからも“中身のある講習”を、一つひとつ丁寧に提供していきます。

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