2026年8月18日、当社が運営するドローンスクールDOSAで、新たに「DOSA受講生ポータル(Drone License Learning Portal)」の提供を開始しました。プレスリリースでは、国家資格取得までの工程を1画面で可視化することや、4つの学習アプリを無償で提供することを中心に紹介しています。
こちらでは少し視点を変えて、運営する側から「なぜ、そこまでやる必要があったのか」を書いてみたいと思います。
国家資格講習は、講習日だけ管理すればよい仕事ではありません
国家資格の講習そのものは、決められたカリキュラムに沿って実施します。
しかし、資格取得までを一つの業務として見ると、その前後にはかなり多くの工程があります。技能証明申請者番号の取得、事前学習、講習日程、修了審査、学科試験、身体検査、各種証明書、最終的な技能証明の申請。講習が終わればすべて完了、ではありません。
学校側には学校側の管理があります。そして受講者側にも、それぞれ進めなければならない手続きがあります。
ここに私たちは以前から課題を感じていました。
「本人に案内した」だけで、管理したことになるのか
例えば、必要な手続きをメールで案内する。「○日までにこれを済ませてください」と説明する。講習終了後に、「次はこちらを申請してください」と伝える。もちろん、それでも業務としては成立します。
ただ、受講される方の多くは、それを本業にしているわけではありません。特に法人受講の場合、本来の仕事をしながら国家資格取得を進めています。
数日前に届いたメールを探して、「次は何だったかな」と確認する。DIPS2.0を開き、別の手続きでは別のWebサイトへ移動する。講習日程はカレンダー、学習教材はまた別のページ。管理側から見れば、それぞれ正しく案内しているつもりでも、受講する側からすると情報が分散してしまいます。
そこで考えたのが、今回のDOSA受講生ポータルです。
「いまどこにいて、次に何をするか」を双方で共有する
ポータルの中心に置いたのは、受講前から国家資格取得後までの工程を一本につないだ「年表」です。
何が完了しているのか。現在どの工程にいるのか。次は何をするのか。
受講生とスクール側が同じ情報を見ながら進められるようにしました。
講習日程、事前課題、技能証明申請者番号、学科試験の予定、必要書類などへの入口もまとめています。修了後の証明書も、スクール側からポータルを通じて共有できます。
これは単なる利便性の話ではありません。管理の抜けを、個人の記憶力や注意力だけで防ごうとしない。私たちにとっては、こちらの方が重要です。
「安全は個人任せにしない」と同じ発想です
株式会社ダイヤサービスでは、安全に対する考え方を「FLY SAFE」としてまとめています。その中で大切にしていることの一つが、安全を特定の誰か一人の責任にしないことです。
事前に情報を共有する。役割を明確にする。確認できる仕組みをつくる。何かあったときだけ頑張るのではなく、最初から抜けが起きにくい状態を設計する。今回のポータルも、実はかなり近い発想から生まれています。
教育についても、「受講生本人がちゃんと覚えていてくれるだろう」「分からなければ聞いてくれるだろう」だけに依存したくありません。スクール側も受講生側も現在地を把握できる。次の行動が分かる。必要な教材にすぐアクセスできる。仕組みで支えられる部分は、仕組みで支える。
これは安全管理でも教育管理でも同じだと考えています。
4つのアプリも、講習時間を増やすためではありません
今回のポータルには、操舵トレーニング、机上審査練習、学科試験対策例題集、実務ブリッジという4つの学習アプリも組み込みました。
スマートフォンやPCから利用でき、学習状況もアカウントに保存されます。
ここでも目的は、単純に「教材をたくさん用意すること」ではありません。
実機を使わなくても準備できることは事前に準備する。講習当日に初めて知ることを減らす。試験対策だけではなく、資格取得後に実際の運航で必要になる考え方までつなげる。
そうすることで、限られた対面講習の時間を、講師と受講生が本当に向き合うべきことへ使えるようになります。
デジタル化したかったのではなく、教育の流れを切りたくなかった
今回の取り組みを「DX」と捉える方もいらっしゃるかと思いますが、私たち自身はあまりそう考えていません。やりたかったのは、申込、事前準備、講習、修了審査、学科試験、資格取得、そしてその後の実務を、バラバラの出来事にしないことです。
国家資格を取得した瞬間に、スクールとの学びが終わる必要もありません。DOSAでは、CRM、SMS、チームビルディング、ドローン運航を想定した応急手当なども含めて、資格取得後も学べる環境を整えています。操縦技量だけではなく、判断する力、周囲と連携する力、リスクに気づく力まで含めて「任せられる操縦者」を育てたい。
そのためには、講習時間だけを見るのではなく、学習全体をどう設計するかが重要です。DOSA受講生ポータルは、そのための基盤としてつくりました。まだ完成形だとは考えていません。
実際に受講される方、講師、各校の運営側から得られた気づきを反映しながら、これからも改善を続けていきたいと思います。

戸出 智祐(代表取締役 / ドローン安全管理コンサルタント)
ノンテクニカルスキル講習(CRM、チームビルディング、 日本初のドローン応急手当講習)を提供。米国FAAのSMS義務化に先行したノウハウで、 1,000時間超の運航経験(失敗含む)からSMSを構築。 2023年より3年連続で安全報告書を自主公開している、日本唯一の現場安全管理・リスクマネジメント実践者です。 このブログでは、教科書に載っていない 現場の実践知と失敗から学んだ教訓を共有します。
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