〜 操縦技量だけでは事故を防げない、その理由とは? 〜
1. ドローンサービスの安全は『操縦スキルだけ』では限界がある
ドローンサービスの世界では、「操縦技量(テクニカルスキル)が高ければ安全」と考える方もまだ多いかもしれません。しかし、現実は違います。
実際、ドローン運航における事故の原因は、多くの場合、「操縦技量」ではなく、「人間の判断や認識不足」といった『ノンテクニカルスキル(NTS:Non-Technical Skills)』に起因しています。
ダイヤサービスでは、この点を早期に見抜き、ドローンの安全運航にノンテクニカルスキルを組み込んだ評価とトレーニングを積極的に導入しています。
2. ドローン運航における事故原因の実態(具体的データから)
実際のドローンサービス現場の事故報告を見ると、以下のような事実があります。
- 英国民間航空局(UK CAA)の『Drone Incident Reports』では、報告された事故の約80%が「操縦技量そのもの」ではなく、「状況認識不足」や「コミュニケーション不良」、「判断ミス」などの人的要因によるものだと指摘されています。
- 欧州航空安全庁(EASA)が発表する『Annual Safety Review』でも、ドローン事故の主要原因は「操縦技量不足」ではなく、「運航中の認識不足や判断の遅れ」が原因と明記されています。
つまりドローン運航の事故は『操縦技量』の問題ではなく、『ノンテクニカルスキル』が不足しているために起こるケースが圧倒的に多いのです。
3. ノンテクニカルスキル(NTS)とは何か?
NTS(Non-Technical Skills)とは、操縦技量(テクニカルスキル)とは異なり、『人間が状況を適切に認識し、的確な判断を行い、チーム内で効果的なコミュニケーションを取り、安全を確保するためのスキル』のことです。
なぜNTSが重要かというと、実際の運航では、高い操縦技量を持ったパイロットでさえ、状況認識や意思決定、チーム間コミュニケーションの不足が原因で、事故を起こすケースが頻発しているからです。
NTSは主に次の5つのスキルから構成されます。
【状況認識(Situational Awareness)】
飛行中に起こるさまざまな変化(気象条件、機体の状態、周囲の環境など)を正確に把握し、その変化が今後どのような影響を与えるのかを的確に予測する能力です。
【意思決定(Decision Making)】
得られた情報をもとに、「いつ、どのような対応をすれば最も安全で効果的か」を判断する能力です。迷わず、迅速かつ適切に判断することが求められます。
【コミュニケーション(Communication)】
操縦者だけでなく、監視員や補助者、運航管理者など、チーム内全員が同じ情報を共有し、誤解なく理解できるように正しく伝える能力です。情報が曖昧だと、チームの行動に混乱が生じます。
【リーダーシップ(Leadership)】
チーム全体を安全運航に向けて統率し、役割を明確に分担し、円滑に動かす能力です。リーダーシップが不足すると、現場の役割分担が曖昧になり、事故や混乱の原因になります。
【ストレス管理(Stress Management)】
緊急時や想定外の事態に直面した時でも冷静さを失わず、焦らずに正しく判断できるよう、自分自身やチームの心理的ストレスや身体的な疲労を管理する能力です。過度なストレスは判断ミスを引き起こします。
ドローンサービスの現場では特に「状況認識」「意思決定」「コミュニケーション」が重要視されるのは、これらが現場で頻繁に発生するリスクと直接関わりが深いからです。
例えば、風速の変化やバッテリー残量低下などは常に変化します。このような状況に即座に気付き(状況認識)、すぐに帰還や高度調整などの行動を取る判断ができる(意思決定)、さらにその行動をチーム内で速やかに共有できる(コミュニケーション)ことで、事故を未然に防ぐことができます。
3. 現場でありがちな問題とNTSでの解決事例
①状況認識の欠如による事故
【問題例】
飛行中、突然の強風に気づかずにフライアウェイ。
NTSの導入効果
チーム全員が「風の変化」を迅速に共有し、状況認識力を高めることで事故を未然に防止。
②意思決定の遅れによる事故
通信障害が発生しているにも関わらず、「なんとかなる」と判断を先送りし、制御不能に。
→ NTSトレーニングで事前に意思決定プロセスを明確化し、即座に安全な決定が可能になる。
③コミュニケーションミスによる運航トラブル
「高度変更」の指示が曖昧だったため、操縦者と監視員で誤解が生じ、衝突寸前に。 → 明確なコミュニケーションを徹底することで、情報伝達ミスを防止。
4. NTSを向上させるメリット
事故防止効果が高い
操縦技量だけに頼らず、チーム全体の認識力や意思決定能力が高まるため、事故を大幅に減少できます。
チームの生産性・信頼性向上
役割分担が明確になり、効率的な運航が可能。
チーム内の意思疎通が円滑化し、現場のストレスや混乱を削減。
競争優位性の向上
国交省や自治体、大手企業の案件では「安全管理の仕組み」が評価されるため、NTSを備えていることは明らかな競争力となります。
5. ダイヤサービスの取り組み (DOSAでNTS講習とD-LOSAの活用)
ダイヤサービスでは、自社運航にノンテクニカルスキル(NTS)を積極的に導入し、操縦技量だけに頼らない、安全運航を徹底しています。
また、自社で提供する『D-LOSA(ドローン運航評価サービス)』では、チーム全体のNTSを可視化・評価することで、具体的に何を改善すべきかを明確にし、運航チームのスキル向上を支援しています。
さらに、ダイヤサービスが運営するドローンスクール『DOSA』においても、NTSの重要性を理解できる講習やトレーニングを提供しています。
6. 「テクニカルスキル+NTS」で競争優位を獲得
ドローンサービスの世界では、すでに操縦技量だけでは安全性が確保できないことが明らかになっています。具体的な事故データが証明している通り、これからは『操縦スキル+NTS』が安全運航の新しい基準となります。
ダイヤサービスは、この分野で先駆的な取り組みを行い、NTSの重要性を実践的に証明しています。
操縦技量だけでは到達できない、安全かつ効率的な運航を目指し、競争優位を確立しましょう。