〜 事故を防ぐのは「意識」ではなく「仕組み」だ 〜
1. はじめに – ドローンサービスの世界に「安全管理の仕組み」が必要な理由
ドローンサービスの世界では、「安全運航はパイロットの意識次第」 という考えが未だに根強くあります。
しかし、意識や努力だけでは限界があるのが現実です。
✅ 経験豊富なパイロットでも、ヒューマンエラーは避けられない
✅ 同じミスが繰り返されるのは、仕組みが不十分だから
✅ 人の意識や技術に頼るのではなく、システムとして安全を担保することが重要
そこで、世界の航空業界で採用されているのがSMS(Safety Management System:安全管理システム)です。
SMSを導入することで、ドローン運航の安全性を高め、事故を未然に防ぐ仕組みを構築できます。
2. SMS(Safety Management System)とは?
SMSは、単なる「チェックリスト」ではありません。
運航全体の安全性を管理し、継続的に改善するための仕組みです。
- 事故やヒヤリハットの記録・分析 → 過去の失敗を教訓にする
- リスクの事前評価と対策 → 事故を未然に防ぐ運航管理
- 安全文化の醸成 → チーム全体で安全を意識する環境作り
SMSが導入されていないと、事故は「たまたま起きた出来事」として処理され、根本的な問題解決には至りません。
しかしSMSがあることで、事故の背景や原因を分析し、次回以降の事故防止策を講じることが可能になります。
3. SMSの4つの主要要素
ドローンの運航現場でも、航空業界と同様に、以下の4つの要素がSMSの基本構成になります。
(1) 安全方針と目標
- 企業やチーム全体で「安全第一」の姿勢を明確にする
- ルールやガイドラインを整備し、安全運航の文化を根付かせる
(2) 安全リスク管理
- リスクを事前に特定し、適切な対策を講じる
- SORA(Specific Operations Risk Assessment)と連携し、運航ごとのリスクを評価
- 事故やヒヤリハットのデータを蓄積し、同じミスを防ぐ
(3) 安全保証
- 日々の運航データを分析し、安全対策が機能しているかを確認
- 定期的な監査や安全チェックを行い、改善点を明確にする
(4) 安全促進
- 操縦者だけでなく、チーム全員が安全管理に関わる文化を作る
- CRM(Crew Resource Management)と組み合わせ、チーム全体での安全意識を向上させる
- 教育やトレーニングを通じて、リスク管理スキルを強化する
ダイヤサービスでは、この4要素を運航管理に導入し、SMSを実践的に運用しています。
4. SMSを導入する3つのメリット
(1) 事故を未然に防ぎ、安全性を飛躍的に向上
✅ 事前にリスクを特定し、対策を講じることで事故の発生率を大幅に低減できる
✅ パイロットの経験や勘に頼らず、客観的なデータに基づく安全管理が可能
(2) 規制対応がスムーズになり、事業の信頼性が向上
✅ 国交省の規制が今後厳格化される中、SMSを導入している事業者は優遇される可能性が高い
✅ 安全管理体制が整っている企業は、自治体や大手企業からの仕事を獲得しやすくなる
(3) チーム全体の安全意識と効率が向上
✅ 安全管理を「個人の責任」ではなく「組織の責任」にすることで、チーム全体でリスク管理ができる
✅ DOSAのチームビルディング講習やCRM講習と組み合わせることで、より効果的な安全運航が可能
5. ダイヤサービスの取り組み – SMSを組み込んだ教育と運用
ダイヤサービスでは、自社の運航にSMSを積極的に導入し、全てのフライトでリスク管理を徹底しています。
これにより、安全性の向上とともに、運航の効率化やトラブル発生時の迅速な対応が可能となっています。
DOSAでSMS講習を実施
DOSAでは、登録講習機関の枠を超え、実際の運航に役立つSMS講習を提供しています。
- 基本的なリスク管理の概念から、実践的なデータ分析の方法までカバー
- 操縦者だけでなく、管理者やチームメンバーも対象にした内容
- D-LOSA(ドローン運航評価サービス)と組み合わせ、運航全体のリスクを可視化
6. まとめ – SMSの導入が競争優位につながる
- SMSは、意識や努力ではなく、仕組みとして安全を担保するためのシステム
- 事故を未然に防ぎ、安全性を向上させるだけでなく、規制対応や事業の信頼性向上にも貢献
- ダイヤサービスは、自社の運航にSMSを導入し、DOSAの講習にもSMSの概念を組み込んでいる
- 今後のドローンサービスの世界で競争優位に立つためには、SMSの導入が必須
「事故が起きたら対応する」ではなく、「事故を防ぐ仕組みを作る」時代へ。
次回は「CRMとは?チームで築く安全な運航体制」について解説します!